りはびりあばうと

脳梗塞のリハビリについてのサイトは多くある。

下記2つのサイト、どちらも簡潔によくまとまっていると思うので読んでいただきたい。


ところでウィキペディアによるとリハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)、すなわち「再び適した状態になること」「本来あるべき状態への回復」などの意味を持つ。また、猿人と原人の中間に意味するホモ・ハビリス(homo habilis、「器用なヒト」)が、道具を使い人間にふさわしいという意味でも用いられ、適応、有能、役立つ、生きるなどの意味も含有し、リハビリテーションの語源ともいわれている。


 つまり「本来あるべき状態への回復」だけがリハビリではない。適わなくなったものを再び適うようにする、こちらの方が語源的には本来のリハビリなのだ。


広辞苑では、リハビリテーションとは治療段階を終えた疾病や外傷の後遺症を持つ人に対して、医学的・心理学的な指導や機能訓練を施し、機能回復・社会復帰をはかること、とされている。入院したまま、寝たきりなどから社会へ戻すこと、これが主眼のようである。


脳梗塞は、症状の程度も様々で、後遺症も全くないものから重篤なものまで各患者毎に、例えば恋愛というものが各恋愛毎にまったく異なるように、異なるのものなのだ。死滅した脳の神経細胞(梗塞)の数や範囲が違うし、仮にまったく同じように壊れたとしてもその脳細胞の働きが各人微妙に異なる。
死滅した脳細胞は二度とよみがえることはなく、その脳細胞が果たしていた機能を周囲の脳細胞がある程度肩代わりするようになる、これもどの細胞がどの程度代行するか各患者で異なるのだ。


某国の将軍さまと呼ばれた独裁者や、有名運動選手ですら後遺症から完全に回復することはなし得なかった。つまり金や権力で最善の治療・リハビリをしても回復できるとは限らない。


しかし患者である我々は、下記サイト1で語られているとおり、リハビリを続けていれば、たとえわずかしか変化しなくても、確実に今より良くなっていくと信じていくしかないのである。


サイト1

脳梗塞のリハビリと後遺症押さえておきたいポイント

(http://cisrehabsequela.kasmana.com/)の記事より

リハビリで脳梗塞の再発を予防し、その後遺症を軽減する



脳の血管が詰まって起きる「脳梗塞」は、いまや日本人の死因の第四位を占める「脳血管障害(脳卒中)」の一つです。

脳卒中全体の78割を占めるとされ、その発症数も年間2030万人に達すると言われています。


脳血管疾患の治療技術の発達により、脳梗塞の死亡率は、近年は大きく低下する傾向にあります。

しかし、最悪の場合「死に至る病」であることに変わりはなく、脳卒中による死亡の6割以上を、いまだに脳梗塞が占めているのです。


また治療で後手を踏んだ場合は、家族や周囲の人の介護・介助を必要とする、さまざまな「後遺症」が残ることの多い病気でもあります。


そして脳梗塞は「再発しやすい病気」です。


発症したという事実は、その人の脳血管が詰まりやすい傾向にあることを示すだけでなく、脳の別の部分が同様の症状にみまわれる可能性をも示唆しています。


一般に、最初の発症と同じ種類の脳梗塞を再発する可能性が高く、特に発症してからの一年間がもっとも再発しやすいと言われ、特段の注意が必要な時期とされています。


後遺症の軽重を問わず、脳梗塞によって失われた機能の回復をはかるため、またその再発防止をはかるためにも、後述するさまざまなレベルの「リハビリテーション(リハビリ)」を、継続して行っていく必要があります。


ただし、一口に「リハビリ」と言っても、長期間にわたる周囲のサポートが必要であること、本人が「周囲に迷惑をかけている」と感じて気持ちがどうしても委縮しがちなため、継続的なメンタルケアが必要なこと、そしてなによりリハビリに取り組むこと自体が「脳梗塞の再発予防」のため欠かせないプロセスであることなど、リハビリにあたって注意するべき点は数多くあります。


さまざまな後遺症~急性期の治療が最も重要


脳梗塞はその発症から(検査時間も含めて)4時間半以内であるならば、「tPA」という脳の血栓(血のかたまり)を溶解する薬の投与により、脳の血流の回復を図るための効果的な治療を行うことが可能です。


しかし不幸にして早期の治療がかなわなかった場合は、脳のどの部位が障害を受けたかによって、さまざまな症状を呈する後遺症が残る可能性が高まります。なお後遺症の深刻さは、必ずしも梗塞の大きさに比例するものではありません。


後遺症は、その程度に差があるものの脳梗塞ではほぼ必ず見られる症状であり、また体の片側・半分だけに出ることが多い点が、ひとつの特徴になっています。


もっともよく見られる後遺症は、体の片半分にあらわれる「運動麻痺」やしびれなどの「感覚障害」、そして言葉が出てこない・ろれつが回らないといった「言語障害(構音障害や失語症など)」です。

これらはどのタイプの脳梗塞においても程度の差こそあれ、ほぼ共通して観察される症状です。


その他にも意識障害や視覚障害、あるいはめまいや体のふらつきといった症状がみられることもありますが、実はこれらは必ずしも脳梗塞に起因する症状とは限りません(だからといって放置して良いはずもなく、できるだけ早期に専門医の診察を仰ぎ、病状を特定して適切な治療を受けることが必要です)。


発症後には、とくに治療を受けずと症状がほぼ自然に無くなってしまう(TIA、一過性脳虚血発作)患者が、全体の2割程度いるとされます。

脳梗塞に襲われた直後は、本人の意識も比較的はっきりしており、受け答えなどがちゃんとできているケースも多いため、そのまま放置されてしまうことも珍しくありません。


しかしここで間違えてならないのは、「症状の消失は、脳梗塞からの回復をなんら意味しない」ことです。

むしろその段階で、一部の死滅した脳の神経細胞(梗塞)が周囲の生きた神経細胞を取り込むかのように、時間が経つにつれて広がっていく可能性が高いのです。


したがって、脳梗塞の発症が疑われるときは「とりあえず様子をみる」といった対応は厳禁です。

症状のいかんを問わずただちに救急車を呼んで、専門病院で診察・治療を受ける必要があります。


後遺症を防ぐ、また後遺症をできるだけ軽いレベルでとどめるためにも、「脳梗塞は、発症直後(急性期)における早期の治療対応がきわめて重要な病気」であることは、よく心に留めておきましょう。


脳梗塞による死亡率が下がってきている一方、近年大きく問題になってきているのが、その後遺症による「本人の生活の質(Quality of lifeQOL)の低下」です。


脳梗塞の発症をきっかけとして、本人の性格が以前とは別人のように変わってしまうことも、少なくありません。

障害の部位によっては感情の抑制がうまくいかなくなったり、あるいはうつ病・不眠・脳血管性認知症の発症など、感情・精神面における後遺症が残ることもあります。


以上のような身体的・精神的な後遺症から最大限の回復を果たし、自立した日常生活を送ることを目指して行われる(もしくはそのための支援を行う)のが「リハビリテーション(リハビリ)」です。



リハビリの主な目的と内容・期待される効果


脳梗塞のリハビリの主な目的は、「再発の防止」及び「日常生活における機能障害や能力低下からの回復を目指し、生活の質の向上と維持をはかる」ことにあります。


再発防止のためには、脳に血栓ができるのを防ぐ投薬治療や、動脈硬化・高血圧・糖尿病などのいわゆる生活習慣病の危険因子を遠ざけるための、生活習慣の確立が必要です。


改善のため、脳梗塞の食事療法の実践と同じくらい効果的で欠かせないのが「リハビリを通じた適度な運動」です。


機能障害等からの回復という点では、後遺症で寝たきりとなったなどの理由で筋力が衰えたり、あるいは関節が固まったりする、いわゆる「廃用症候群」を予防することが主な目的となります。


廃用症候群では肺炎や認知症などの二次的障害を起こすリスクも高まるため、残っている機能を活性化し、なおかつ廃用症候群によってそれらを失わないようにすることが、リハビリにおいて目指すべきことになります。

通常は、発症・治療後のできるだけ早い段階で、理学療法士や作業療法士・言語聴覚士・看護師・臨床心理士らの専門家チームによる療法を通じて、リハビリが開始されることになります。


医学的なリハビリは、脳梗塞発症直後~3週間までの「急性期」、病状安定後から36ヶ月程度までの「回復期」、それ以降の「維持期」の三段階に分かれています。

一般に急性期のリハビリは病院で、また回復期のリハビリはリハビリ病棟や専門施設で、集中的に行われます。


ちなみに回復期の段階で、急性期に入院していた病院から転院することになりますが、地域によってはリハビリ施設が不足気味のため、最適なタイミングで希望するリハビリ施設に入ることが叶わないケースも、珍しくありません。

まず急性期の病院がグループ内に附属のリハビリ施設を有しているかどうを確認し、そうでない場合はできるだけ早いうちに、希望条件に近い専門施設を探すべく家族が動き出すことが必要です。


急性期リハビリは、病後の寝たきりなどによる廃用症候群の予防が目的となります。よってできるだけ早く行う必要があり、多くの医療機関では脳梗塞の治療と並行して、この急性期リハビリにもっとも力を入れています。

具体的には手足の関節を動かしたり、寝たきりによる床ずれを防ぐための体位変換などが行われます。

急性期のリハビリは、患者が体力面・精神面で不安定な状態におかれていることもあり、たとえば運動による血圧の急変などを避けるため、医師や看護師あるいはリハビリの専門家の指示のもと、慎重に行われる必要があります。


回復期リハビリは急性期病棟でなく、回復リハビリ病棟で行われます。

日常生活で必要な食事・歩行・排泄など身体機能の回復に力点が行われ、さまざまな訓練が実施されます。

脳梗塞の場合、医科診療報酬点数上の受診できる上限は原則として最大180日間ですが(例外的に延長も可能)、大部分の方がこの期間内に日常生活ができる水準までに回復しています。


回復期の日数を経過した後は主に自宅を中心に、日常生活を営みながら行うのが、維持期(在宅)リハビリです。

回復した身体的機能の維持が目的となり、生涯にわたって終わりなく行うことになります。


回復期までに回復せずに残った後遺症に対しては、在宅リハビリが中心となります。

一般に脳血管疾患のリハビリは、発症から6ヶ月程度までが効果的に実施できる期間とされており、その後は回復の程度に応じて、医療保険や介護保険で用意された外来(訪問)リハビリや通所リハビリなどのサービスを活用しながら、自宅でリハビリを行うのが一般的です。


脳梗塞によって失われた機能をリハビリによって100%回復することは、現実にはなかなか難しいでしょう。

一度死んでしまった脳の神経細胞それ自体は、残念ながら回復が不可能であり、リハビリで脳梗塞で失われた機能そのものを再生することはできないからです。


ただしこれまでの脳の機能研究によれば、リハビリを続けることで死滅した脳細胞の近くにある脳細胞が新たなネットワークを形成し、その機能をある程度まで肩代わりすることが判明しています。

急性期・回復期の段階で適切なリハビリを集中的に続けることによって、廃用症候群を防ぐと同時に、日常生活動作の相当部分を回復させて、その後の自宅における自立した生活につなげていくことは可能です。


脳梗塞は発症から半年程度で病状がほぼ固定され、その全容が見えてきます。

したがって、最初に脳梗塞が起きたときの症状と発現した障害の度合いにより、後遺症からの回復がどの程度まで見込めるかという「ゴール」も、だいたいの目算が立つわけです。

そのゴールを目ざして、リハビリテーションが行われることになります。


せっかく回復期に取り戻した感覚や機能も、その後に放置してしまっては、再び状態が低下していきます。それを防ぐためにも維持期においては、医師の定期診察を受けつつ在宅リハビリを適切に続けていくことが必要です。

それにより回復期を経てもなお残ってしまった後遺症を、最小限の範囲にとどめておくことも可能になります。


リハビリが実質的に不可能な重篤な脳梗塞患者もいることを踏まえれば、「リハビリが行える分だけ恵まれた状況にある」という考え方もできるはずです。

したがって、脳梗塞になったときを最悪の状態とするなら、「休まずリハビリを続ければ、たとえ変化がゆっくりであろうとも、必然的に今より良くなっていく」といった前向きな気持ちを、本人も家族も持ち続けることが極めて大切です。


サイト2

脳梗塞ココが知りたい!

(http://www.gotocss3.com/09/post_48.html)の記事より

後遺症が出る割合


発病者の6割に後遺症が


脳梗塞とは、命は助かっても障害や後遺症が残るというのが一般的なイメージですが、実際の統計を見ると、実際そのとおりだと言わざるを得ないぐらい何らかの障害が残る可能性の高い病です。


脳出血を含めた脳卒中全体では発症した人の約6割が、症状の軽重は有れ、何らかの後遺症を持つとされており、多くの人が後遺症に悩んでいる現実があります。


脳卒中から全回復する確率は20%


死亡率ではガンが現在のトップですが、寝たきりの原因となるのは脳梗塞・脳出血がトップであり、QOLという点から見れば依然として最大の脅威といっても間違いではないようです。


なお、後遺症が出ない40%の人のうち20%はそのまま死亡してしまう人の割合であり、発症後、目立った後遺症もなく回復するのは全体の20%ほどということになります。すなわち、全部合計すれば脳梗塞・脳出血いずれかの脳卒中で倒れたならば、8割は死か後遺症を覚悟しなければならないという、かなり厳しい数字となります。


脳梗塞も後遺症が残る確率は高い


ただ、これは脳卒中全体での数字であり、非常に重篤な状態に陥りやすい脳出血に統計上引っ張られているという感も有ります。


脳梗塞単体で見た別の統計では、「入院中に亡くなった人:7%」「退院時に杖なしで歩くことができた人:60%」「退院時に全く障害が残らなかった人:20%」「退院時に日常生活の介助が必要な状態の人:30%」となっているようです。やはり死亡率は大きく異なっていますが、全く障害無しで回復する人は、結局同じぐらいの比率になるようです。


起こりやすい後遺症   

早期発見が後遺症を残さないポイント

脳梗塞・脳出血をまとめた脳卒中は、よほど処置が早かったという場合や、一過性虚血発作などでない場合、高い確率で後遺症が残ります。これは脳細胞は一旦破壊されてしまうと、再生が利かないということに起因しています。

検査等で見つけて対処したのなら良いのですが、多くの場合は発作で倒れるなど、はっきりとした脳梗塞の症状が出てから搬送・入院して処置を受けることになります。そうなるとやはり高い確率で脳細胞は壊死が起こっており、同じく高い確率で何らかの後遺症が残ってしまいます。

強い抑うつ感が生じることも

脳梗塞で代表的な後遺症としては、「片麻痺」「半身麻痺」「失語症」「構音障害」「嚥下障害」「視覚の狭窄、範囲減少」「記憶障害」「注意障害」「その他精神活動に関する障害」「その他運動障害」など、脳神経の働きに依存している活動全般に様々な形で現れます。アルツハイマー型認知症とよく似た症状を呈することも有ります。

また、副次的な後遺症としては、各種日常生活の活動に支障を来すことから、精神的に無力感、強い抑うつ感に苛まれるというのも、広い意味では後遺症に入るでしょう。

リハビリで改善される症状もある

こうした後遺症は、脳細胞破損が原因ですので、なかなか改善が難しいものもある一方、適切なリハビリによってかなり改善が見込めるものも多く存在します。

また仮に、機能そのものは障害を持ったままであっても、うまく脳梗塞後の日常生活動作に適応できれば、精神的な抑うつなどの二次被害・二次後遺症を防いで軽減することが可能になります。


片マヒ・半身マヒ

最も多い脳梗塞の後遺症

脳梗塞の後遺症として非常に多いのが、「片麻痺」「半身麻痺」と呼ばれる症状です。
片麻痺とは、体の片側、右か左かどちらかの半身で麻痺が発生するという症状であり、脳梗塞で特に多くなる症状です。脳出血の場合でも発生はするのですが、どちらかという損傷範囲が限定される脳梗塞の方に多く見られる症状です。

半身麻痺が起こる理由

脳は体の各部位と脳の中での担当部位が対応しています。すなわち、脳の一部分が破損した場合、それに対応する体の一部分が感覚麻痺などの機能不全を起こすようになっています。
また、人間の脳は左右がかなりはっきり分かれていて、それを脳梁でつなぐという形式を取っていますので、片方で起きた障害も、もう片方には影響を及ぼしにくいという性質が有ります。

このため、脳梗塞などで脳の一部に損傷が発生し、その近辺の脳細胞も含めて機能不全に陥った場合、左右どちらかの半身麻痺、片麻痺ということが起きてくるわけです。
同じ理由で、出血が脳全体を圧迫して問題を引き起こす「くも膜下出血」などでは、片麻痺などの部位限定的な障害よりも、全体機能への影響が出やすいようです。

麻痺は早い段階からのリハビリが必要

片麻痺への対応、リハビリとしては、マッサージや外部から動かすなどで症状の軽減を図ると共に、拘縮を避けるのが重要になります。特に、手足などが関節部分で折れ曲がった後動かせなくなる拘縮はその後の機能回復などにも大きな影響を及ぼすため、出来る限り早い段階からリハビリを始めるなどの対応をする必要が有ります。

 

失語症(ブローカー失語症・ウェルニッケ失語症)    

言葉がうまく出てこない

当たり前の話ですが、人間は脳で思考して言葉を操ります。ですので、脳梗塞などで脳が損傷すれば、やはり言葉を操る機能にも影響が出てきます。
これを失語症と呼びますが、失語症では損傷を受けた部位によって具体的な症状が違ってきます。

ブローカ野の損傷が原因に

脳にある「ブローカ野」は、左脳前頭葉の端っこに存在している領域ですが、主に言語処理、特に「自分から発話する場合の言語処理」を担っている部位です。ここが損傷して起こる失語症は特に「ブローカー失語症」と呼ばれて区別されます。

ブローカー失語症の具体的な症状の特徴としては、「言語が理解はできるが、発語するのに障害がある」という状態になることです。特に、発話のための運動機能に対しての障害が大きく、うまく話すことができなくなります。

加えて、障害されるのは音声発話だけではなく、筆記などにおいても問題が見られるようです。この場合、文法的に入り組んだ複雑な文章を作ることができなくなり、内容的にストレートな表現をした簡素な文章のみ扱えるようになります。

ウェルニッケ野の損傷でも失語症になる

もう一つの失語症としてよく見られるのが、「ウェルニッケ失語症」です。これはブローカー失語症と同じように左脳に存在している「ウェルニッケ野」という部分が損傷することによって起こる症状で、主に「言語を聞き取れなくなる、理解できなくなる」という症状で表れます。

また、流暢に話すことは出来るのですが、本人が言語理解を損傷していますので「聴きやすいけれど、全く意味のわからない言葉」をしゃべるというのも特徴です。


半側空間無視   

情報・感覚が把握できなくなる

脳機能の仕組みを考える上でも興味深いのが、「半側空間無視」という症状です。
これは脳梗塞などで脳の片側半球がダメージを受けるとそれに対応した側からの情報・感覚を認識できなくなってしまうという症状です。主に右脳損傷による左側空間無視がよく見られます。
もちろん、左脳を損傷して右側に問題が出ることも有るのですが、左脳を損傷すると高い確率で失語症などが出てくるので、そちらに注意が行きがちにもなります。

またこの症状の特徴としては、多くの場合において「本人は症状に自覚が無い」点が挙げられます。すなわち、本人は回りに言われるまで「片側の感覚が認識できていないことに気が付かない」のです。

視覚情報について

例えば視覚を例にとって見ると、両目それぞれで見た画像は、まず網膜で捉えられて視神経信号として脳に送られます。そこで左目の信号は右脳で、右目の信号は左脳で処理されて「視覚情報」となり、それを更に統合して立体的な「両目の視野」になります。

半側空間無視が起きている場合、この過程の内の「信号から情報への処理」を行う部分が機能しておらず、眼が捉えた信号そのものは脳に行っている(見えている)のに、それを情報として処理できないために「無い」という扱いになります。

見えていないことも気づかない

ここで注目すべきは、問題になっている側の視覚情報は完全に「無い」のであり、暗闇などですら無いということです。そのため本人は見えていない(認識できていない)ということにすら気づきません。


半側身体失認   

自分の体を認識できなくなる

半側空間無視が、外の環境に対しての無視であるなら、半側身体失認は自分の体に対する無視です。こちらも同じく、脳の半球がダメージを受けることで起きてくる症状です。

半側身体失認の症状が出ている人は、自分の体のどちらか半分の存在を認識できない、認識し難くなっています。左右どちらでも有り得ますが、失語症との絡みで症状を訴えられることが多いのは左側身体失認となります。

半身の存在を失認する

具体的な姿としてどのようになるかというと、座る際に失認している側の手足を敷いて座ってしまう、食事や作業で失認されている側の手足が全く使われないといった形になって表れます。
これは、当人にとって失認されている側の体はまさに「存在していない」という感覚になっているのが理由であるようです。これは、「存在しているのをわかっていても感じられない、動かせない」という片麻痺とは異なり、「問題なく動かせるし、感覚も有るのに、意識から半身の存在が抜け落ちる」というものです。

そのため、周りから「そっちの手も使ったら?」と注意を受けた直後はちゃんと両手での作業をしていても、すぐに忘れられて、片手で作業をしているといったことになります。
もちろん、片麻痺が同時に起きている場合もあり、中には麻痺が起きているのに、そのことを認識しないで行動するといった事も見られます。

手足の存在が抜け落ちる

とにかく、意識的な行動からは「そちら側にも手足が有って体が有る」ということがすっぽり抜け落ちるのが半側身体失認だと言えます。


注意障害   

注意障害は4つに分類される

脳梗塞などで脳が損傷した場合に表れる障害の一つに「注意障害」が有ります。注意障害は、その症状の出方によって4つの障害に分類することができます。

複雑な事柄がおこなえない容量性注意障害

一つ目が「容量性注意障害」です。これは、一度に複数のことをしたり、複雑な事柄を行ったりする能力が極端に低下する症状です。一つのことを考える・行うときには問題がなくても、それが複数になったり、桁数の多い計算をさせるなどをすると、途端に効率が激減したりする障害で、まさに「容量オーバー」の状態をかなり少ない負荷でも発生させます。

もともと人間は同時並行で行える物事に限度がありますが、容量性注意障害はそのキャパシティがものすごく低下した状態だと言えるでしょう。

集中力が持続できない持続性注意障害

次が「持続性注意障害」です。この障害は、何かの物事に対しての注意、集中を持続できる時間が非常に短くなる障害です。すぐにあちこちに注意が散ってしまう、持続して作業が行えない、話があちこちに脈絡なく飛んで断片的になるなどの形で現れます。自発的な作業だけではなく、受け取りにも影響があり、相手の話の理解がひどく断片的になるなどの問題も有ります。

注意の絞込みができない選択性注意障害

3つ目が「選択性注意障害」です。これは、一つの事柄に注意を絞れなくなる障害です。
例えば、何か手元で作業している場合、近くで物音が聞こえてもある程度無視して作業を続ける必要があるのですが、この障害が出ていると、そうした優先順位付けと選択が行えなくなり、注意がいろいろな刺激に耐えずに引っ張られてしまいます。

全ての症状を併せ持つ全般性注意障害

最後が「全般性注意障害」で、これは上に挙げた注意障害をすべて合わせたような症状を呈します。障害の重さは色々ですが、特にどれということもなく全般に注意力が低下するため、このような分類になっています。

 

記憶障害   

記憶力に関する障害が出ることも

脳梗塞などの脳損傷による高次機能障害の割合ポピュラーな物に「記憶障害」が有ります。
これは文字通り記憶力に関する障害であり、おおまかに分けて「記憶する能力の大幅減衰」「思い出す機能の不全」に分けることができますが、実際は一体となって「記憶障害」として当事者や家族を悩ませます。

記憶できない障害

まず、記憶する方の能力障害ですが、これは簡単に言って新しいことを覚えられなくなります。
一回や二回聞いたぐらいでは用件や話を覚えられない、約束や予定を覚えられないといった中期ぐらいの記憶もそうですが、今見た数字や文章が目を離した途端保持できなくなるなどの極短い短期記憶に関しても障害が出ることも多いようです。このため、いわゆるわかりやすい物忘れや覚えの悪さだけではなく、ある程度長い文章や話しへの理解力が極端に落ちるという形でも出ることがあります。

思い出せない障害

もう片方、思い出す機能の障害ですが、これは予定や約束を思い出せないなど「記憶できていないのか思い出せないのか区別がつかない事例」も多く存在します。思い出す機能が障害を起こしている典型的な例としては、脳梗塞発作以前の事柄に関しても記憶が抜け落ちているようなパターンでしょう。これは明らかに思い出す機能の破損だと見ることができます。(記憶領域そのものが破損した可能性も有りますが)

その他、現在の自分がどのような経緯を経て、いまの状態になっているかの歴史記憶が飛んでいたり、数年~数十年前の自分であるような認識をしたりということも有ります。いわゆる「今がいつなのか」に関する認識がおかしくなることが多いのはこちらの障害の特徴でしょう。


脳血管性認知症   

認知症に似た症状がでることも

いわゆる昔から「ボケ」と言われてきた、精神作用の障害は認知症という呼称になっていますが、この認知症もその発生原因からいくつかのタイプに分けることができます。脳梗塞などを原因として起こる認知症を「脳血管性認知症」と呼び、ある程度特徴的な症状を持っています。

症状の特徴はまだらボケ

脳血管性認知症の特徴としては、認知機能の低下がモザイク状、いわゆる「まだらボケ」をすることが挙げられます。具体的には記憶部分では著しい認知症症状が見られるのに、人格部分や判断の部分では比較的正常であるとか、記憶関連に顕著な問題がなくても、異常なまでに感情のコントロールが効かなくなるなどの形で現れてきます。また、片麻痺や感覚異常、半側失認など脳梗塞特有の身体・感覚障害を伴うことが多いのも特徴でしょう。

認知症との違いについて

これは、脳血管認知症が脳梗塞などの部位限定での脳損傷を原因としているのが理由で、記憶を司る部位がピンポイントで破損した一方で、思考や判断を司る部分はほとんど損傷していないというようなことが起きるためであると考えられます。
そのかわり、全体的に脳機能が低下するようなタイプの認知症とは異なり、破損した部位が担当していた認知機能に関しては、著しいダメージが見られることが多くなります。

原因や症状の特徴を考えれば、脳血管性認知症は認知症の一種であると言うより、脳梗塞に伴う各種障害の内、精神活動に影響をおよぼす物を分けて呼称していると言ったほうが正しいでしょう。


回復期(36か月)のリハビリ

機能回復に重点をおく回復期のリハビリ

脳梗塞治療が一段落し、再発も取り敢えずは無くなったとなると、「回復期」というフェーズに移行していきます。この回復期におけるリハビリは、より「機能回復」という部分に重点を置いたものになっていきます。

回復期のリハビリについて

まず回復期の前半、1ヶ月から3ヶ月ぐらいまでは、腕なら腕、足なら足を単純に動かすことが焦点になります。同時に、マッサージや摩擦によって感覚回路の再形成を促すのもこの時期でしょう。
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ヶ月を過ぎたあたりからは、それらも同時並行的に行いながらより実際の日常生活動作に近いものになります。具体的な所では、「衣服の脱ぎ着」「起き上がり」「立ち上がり」「手を使った作業」「歩行訓練」といったところでしょうか。

また、症状によりますが「映像や音楽を使った視聴覚リハビリ」「カードを使った言語認識リハビリ」「話しかけ」「筆記」「声出し」などの視聴覚・言語・構音障害に関するリハビリも行なっていきます。

認識回復のリハビリも行われる

加えて、こちらも実際の障害の出方によりますが、「カードを使った記憶訓練」「カウンセラーとの会話」「半側無視が発生している側の認識回復リハビリ」なども行われていきます。


実際にどのようなリハビリがどれぐらいの量で行われるかは個々の症状によって異なってきます。


なお、回復期リハビリあたりから、単純に機能を回復させようという他に「機能が不全であるなりに生活するための訓練」も行われていくようになります。順番としては機能回復を試みた後からになるでしょう。