個別解説2 ぐっちーイチオシ

めぞん一刻


STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)

涼宮ハルヒの憂鬱


最終兵器彼女

serial experiments lain


夏目友人帳


めぞん一刻

(1986~1988年放送全96回)

 「時計坂」という町にある「一刻館」という名の古いアパートの住人・五代裕作と、管理人としてやって来た若い未亡人・音無響子を中心としたラブストーリー。人よりも苦労を背負い込んでしまう世渡り下手な青年・五代裕作と、生来の鈍感さと亡き夫へ操を立てるがゆえの真面目さを合わせ持つ美貌の管理人・音無響子の織り成す恋愛模様について、周囲を取り巻く常識はずれの面々が住むおんぼろアパート「一刻館」を舞台に、高橋独自のリズミカルでコミカルな展開で小気味良く描かれる。1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品である。(ウィキペディアより)

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 ビッグコミックスピリッツ創刊の目玉作品・看板作品としてとして、同紙の巻頭カラー作品になることも多かった。私は、喫茶店にあった同誌を見て、すっかりこの作品の虜になり、単行本コミックは初版本で買いそろえた。

 

 コミックファンとしてこのアニメを見ると、二階堂君が登場しない分、話数が少なかったり、コミックと違い、余韻に浸る間がないので、しみじみしたあとの爆笑が無理など、全般にもの足りないものであった。

 

 おまけに、アニメオリジナル回のうち、特に卵の回は奥行きが感じられず、ギャグも上滑りしていてもったいなかった。また、三越を出した意図もよくわからない。

 

 いろいろマイナス面も多いが、リアルタイムで楽しみにしていた作品でもあり、他の作品とはちょっと比べがたい愛着もあり、テレビアニメシリーズの全アニメ作品の中の第一位としたい。

 

 もちろん一番のお薦めであるが、昭和50年以降に生まれた方にはわからない環境もあるかな。

 

涼宮ハルヒの憂鬱

(2006年放送全14話、2009年放送全28話内14話は新作)

 

本人から見て平凡な男子高校生主人公 キョン 、彼の視点からその映し出される世界には、いつもその中心に女子高校生ヒロイン涼宮ハルヒと団体「SOS団」(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、Sekai wo Ooini moriageru tameno Suzumiya haruhiの団→SOS団)での活動を中心にさまざまな登場人物と日常的非日常があった。(ウィキペディアより)

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 この作品は、日本のアニメ文化が生んだ結晶のひとつと言えるだろう。お薦め。

 

 ぐっちーの人間進化予測でも、難関と思われる精神による物体の創造を行える、神に等しい力を持ちながら、本人はまったくそれを知らず、そんな非常識なことはあり得ないと思っている女子高生。その女子高生からなぜか気に入られている平凡な男子高校生。その周りには時間遡行者、超能力者、宇宙人までいるのだが、周囲は至って平凡。

 

 まず「朝比奈みくるの冒険」で度肝を抜かれる。虜になる。このときの古泉・長門の会話は、このアニメのネタバレになるのだが、これが第1話で、しかも、「あれっ?タイトルがちがうんじゃ…」と思いながら見ている視聴者はそれどころではない。この会話で、ますます煙に巻かれてしまう。

 

 「エンドレスエイト」は、我慢して見なさい。我々が見るのはわずか20分✕8回、ユキは8月後半の2週間を15532回繰り返すのだ。僅か160分、3時間弱と、600年間という膨大な時間との差、これだけでも長門ユキを好きにならずにはいられないのではないか?


 バタフライエフェクトのように、ある能力者の単なる思いつきだけで次々と平行世界を生み出し、それぞれの世界の多くの住人の感情などかまわずに、中には幸福な家族もいるその世界を閉ざす、そんな情け容赦もない作品も数多ある中、涼宮ハルヒ、ひぐらし、バックトゥ、ぼくらのには、閉ざす世界を思いやる暖かみがある。

 

 全編見終わって、納得がいき、ハルヒはどこまで自分の心に気がついているのだろうかと思ったとき、この話すべてが思春期のポルターガイストの一種かもしれないと考えた。

serial experiments lain

(1998年放送全13話)

 高度に発展したネットワーク社会 - 現実と区別のつかない仮想空間といったよくある物語と逆に、本作は「仮想世界(ワイヤード)と区別のつかない曖昧な現実(リアルワールド)」に注目する。各登場人物が語る「真実」も、それが事実の保証はない。主人公玲音の世界は、身近な人間や友人に関する内容で占められており、作品そのものが玲音自身の主観の影響下にある構造である。こうした客観の不在性は、ネットワーク、コミュニケーションといったものの性質をリアルに描出しており、視聴者もまたlainという作品、岩倉玲音と繋がった『ネットワーク』にコネクトしていくことを強いられる。(ウィキペディアより)

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 というウィキペディアの解説でもわかるように、私向きの作品。だが1998年、第2回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞など、専門的な評価も高い名作である。お薦め。

 

 例によって、ぐっちーの人間進化予測でいうと、中期思念体に近いか、「とある」の 「風斬」と同じような存在。ちがうのは、風斬が力場のひずみ・偏りが産み出すものであるのに対し、lainはネットワークの電波のひずみ・偏りが、人間の風評も交えて作り出す思念に近いものから、実体化、あるいは、いかにも存在しているかのように強制認識させるもの。

 

 lainがたどる偏在から遍在への道は、「まどか」も通る。「まどか☆マギガ」ファンにもお勧め。ほむらファンはちょっと違うかな。遍在感は、このサイトの愚考録、未来についての筒井康隆 「エディプスの恋人」の項を参照。

 

 3度くらい見ればだいたいわかる作品だけど、このサイトの「未来について」のページを理解していればすぐにわかるかも。

 

 子供を実験台にして、精神によるなんらかの創造をするストリーは、とある科学の超電磁砲で踏襲される。ハルヒも lainの香りがある。

 

 このように、serial experiments lainに影響を受けた作品は多く、それらの多くは私のお薦め作品ともなっている。

 

STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)

(2011年放送全24話)

 秋葉原を拠点とする総勢3人の小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダーである厨二病の大学生 岡部倫太郎は、研究所のメンバー(ラボメン)である橋田至や幼馴染でもある椎名まゆりと共に、日々ヘンテコな発明を繰り返していた。(ウィキペディアSTEINS;GATEアニメより)


 作中には架空の事物と共に実在する企業や大学、商品が実名で登場するほか、現実に流布している都市伝説や陰謀論への言及、インターネットスラングなども話題として登場する。物語の核心には、かつてインターネット上に現れ未来人を名乗った実在の人物であるジョン・タイターが語った内容が組み込まれており、また主人公の言動や携帯電話を使ったゲームシステムも、インターネット上に流布する小噺がモチーフとなっているなど、虚実の入り混じった物語が展開される。。(ウィキペディアSTEINS;GATEより)

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 ネット上に、ゲーム体験記録が数十時間分もUPされていることでも知られる、Xbox 360用ゲームソフト STEINS;GATEのシナリオの一部を抜粋したアニメ?!らしいが、一部抜粋でこの壮大な規模と分量、エンドレスエイトのような平凡な夏休みではなく、エンドレスに死の瞬間を見つづける恐怖。

 

 目がもう少し良かったらゲームも読んでみたいが、標準25時間ということは、手の動きが遅く、目を細めないと画面上の字が読めない私には250時間、1日8時間として32日、ま、やめておこう。

 

 宇宙系統樹の枝分かれと枝の太さの説明に最適なアニメだという点でもお薦め。京アニの中二病にかなりのヒントを与えたのではと、私的に思っている表向きの設定もいい。

 

 スキー・スポーツグッズの秋葉から家電の町へとかわり、ソフマップなどのパソコンの町からコスプレ横行の萌えな町に変わった秋葉原。AKB衰退後は何をテーマにするのかも楽しみ。オリンピックを見据えて何かやるか、常連客の中国セレブ相手にもっと何かやるのか?話が脱線した。

 

 その秋葉の話題作りにも一役買ったアニメである。取り壊し前のラジ館円盤は、ネット上、有名。

私が、仕事で通るとき使わせて貰ったのが東京電機大学関係者用喫煙所、一般人にも解放していたのでよく利用した。あの通り魔事件のあったまさにあのあたりが、本アニメの舞台である。

 

 バタフライエフェクトと宇宙系統樹、この2語でプロットは説明が付く。ただ枝葉が素晴らしいのが本作の特徴。オカリンと紅莉栖とまゆしぃの3人の心情を追っていくだけでも泣ける。ダル、モエカ、ルカ子、フェイリス・ニャンニャンが絡み、裏主人公とも言える阿万音 鈴羽、あの手紙を書いたときの心情(!)、などの主要メンバーに、ミスターブラウンと娘なえ、複雑に絡む人間関係。

 

 女子小学生が、ちょっとした偶然で、近所の優しいお姉さんを殺してしまい、その感触を両手に残したまま一生を過ごすなんていう地獄は、心底、恐ろしい。

 

 見終わったあと、いろいろな場面の続きを考えたりと、何度もおいしいアニメ。お薦め!

最終兵器彼女

(2002年放送全13話)(2005年OVA2話)

 北海道のある街で暮らすシュウジとちせ。ちせは以前から好意を持っていたシュウジに告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まり、二人は静かに愛を深めていく。 しかし、ある日、謎の「敵」に街が空襲される。戦火から逃げるシュウジが見たのは、腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やし「最終兵器」と化して敵と戦うちせの姿であった。 戦争が激化していくにつれ、ちせは力が暴走していき、肉体も精神も人間とは程遠いものとなっていく。 壊れていく世界。壊れていく愛。シュウジはちせを連れて街を出る。(ウィキペディアより)

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   この作品も、めぞん一刻同様、ビックコミックスピリッツで紙媒体のコミックとして読んだのが初見、1999年の暮れである。作者、高橋しんの同誌前作は「いいひと」であり、一般的ドラマの作者だなと思っていたので、そのつもりで読み始めて、また度肝を抜かれた。

 こんな不条理なSF設定で、こんな純粋な純愛ドラマをやる。そしてそのことに次第に違和感を感じなくなる。ちせが可愛くてかわいそうでたまらなくなる。二次元の真骨頂。

 この作品は、コミック、テレビアニメ、実写版映画の3作で、結末が異なることでも有名。

 実写版のラストは、一地方が壊滅し砂漠化した中に、その残骸と男性主人公が残るという、いかにもな予定調和。コミック版は、絵をどう読み解くかで受け取り方は違うと思うが、私は、洞窟は巨大な女性器に見え、そして子宮内部にシュウちゃん、滅びてしまった現全宇宙、聞こえている新宇宙の胎児としての鼓動のように、解釈した。テレビアニメは、一番悲しく、滅びの中の一瞬が滅びゆくものの永遠、そして愛も、と、いったところか。

わかりやすく言うと、ラストパートは走馬燈であり、地球はそのとき消滅していると言うこと。


宇宙系統樹でみれば、幹の内側深くの見ることは困難だが力強く継続する閉ざされた世界ではなく、ぷっつり切り取られた枝。


 さすが、セカイ系の代表作と言っていい作品で、お薦め。なお、ネットの「最終兵器彼女が今でも好き」シリーズも、泣けるよ!

 

夏目友人帳

(第1期2008年放送全13話)(第2期続夏目友人帳2009年放送全13話)(第3期夏目友人帳参2011年放送全13話)(第4期2012年放送全13話)

 

 妖怪が見える少年・夏目貴志は、ある日祖母の遺品の中から「友人帳」を見つける。「友人帳」とは、彼の祖母・レイコが妖怪をいじめ負かした結果、奪った名を集めた契約書だった。

以来、名を取り戻そうとする妖怪達から狙われるようになってしまった夏目は、とあるきっかけで自称用心棒となった妖怪、ニャンコ先生(斑)と共に、妖怪達に名を返す日々を送り始める。(ウィキペディアより)

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 短編アニメ映画「蛍火の杜へ 」(2011)も同じ作者の同じコンセプトの作品。癒やし系の代表である。自然と人間の共生という見方をするなら、妖怪は自然の一部で、主人公夏目は恐れているが、視聴者にはそれほど恐くは映らない。では人間が恐いかというと、愛情の濃淡はあるが悪人と呼べるほどの者も出ない。

 少女漫画誌「LaLa」で2003年から続いて連載中の人気コミックで、花とゆめコミックス刊のコミックスは2015年8月現在19巻、という、最初は少女~若い女性をターゲットにした作品だから、エログロなところはまったくなく、おどろおどろしくもない。

 九州、熊本県は阿蘇地方の山村風景と優しい妖怪たちそして純情な男子高校生とその同級生、愛情あふれる保護者などの人間たちとが織りなす、心癒やされるひとときをお楽しみ下さい。

お薦め。

 同じものを見ているのに、自分と異なる見え方をする人を、どう思うのかというところなんだが、少女漫画らしく、その辺の詰めも甘い。ま、それが癒やし系たるゆえんだろう。