個別解説3 続イチオシ

妄想代理人

(2004年放送全13回)

疲れた現代社会を癒す人気マスコットキャラクター「マロミ」をデザインした鷺月子は、ある夜、通り魔少年バットに襲われた。突如世間に現れた少年バットは次々と人々を襲いはじめ、市井の人々を恐怖へと陥れていく。しかし、幾人も被害者が出、多くの目撃者がいるにもかかわらず、少年バットは一向に捕まりそうになかった。

少年バット事件を担当する刑事の猪狩慶一と馬庭光弘は、捜査を進める中で、被害者の持つ『不思議な共通項』に辿り着く。(ウィキペディアより)

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 自分の人生が薄っぺらいなと思うときや、自分だけ取り残されていると感じるとき、世界が書き割りのように見えることはありませんか?本作や、クレしんオトナ帝国の、書き割り風景場面でそんなことを考えてしまう。

 自分の心の中で作りだした妄想世界を、そのまま外に表せるのがアニメ監督かもしれないとエヴァの庵野さんを見て思ったりもする。

 さて、本作は2010年、膵臓がんにより46歳の若さで鬼籍に入った今敏監督の初のテレビアニメーション作品。アニメ映画ではPERFECT BLUE(1997)、千年女優(2002)、東京ゴッドファーザーズ(2003)と次々とヒットを飛ばし、本作のあとにはパプリカ(2006)を作るなど早逝が惜しまれる。

 妄想世界らしい妄想世界、妄想のような現実、現実のような妄想、妄想の中で妄想する現実、監督らしいタッチで描き出す。

 今敏の作品作りのテーマは「「イマジネーションと現実の融合」、ぐっちーの人間進化の目標は「イマジネーションとクリエイトの融合、想像は創造である」。どことなく同志的感性を感じる。お薦め。

 第8話の主人公、かもめ・冬蜂・ゼブラは、どの時点で残留思念(霊)となったのか、巻き戻して見るのも面白いかも。 

物語シリーズ

化物語・猫物語(黒)・猫物語(白)・傾物語・囮物語・鬼物語・恋物語・花物語・憑物語・終物語

(化物語2009年放送全15話)(偽物語2012年1月放送全11話)(猫物語(黒)2012年放送全4話)(シリーズ セカンドシーズン 猫物語(白)・傾物語・囮物語・鬼物語・恋物語・花物語 2013・2014年放送全28話)(憑物語2014年放送全4話)・(終物語 2015年放送全??話)

 

21世紀初頭の日本の田舎町を舞台とした、阿良々木暦(あららぎこよみ)と彼に出会った少女たちの、「怪異」に関わる不思議な物語。
 怪異と戦って倒すような展開はほとんど無く、怪異の出現した原因を探ったり、謎を解いて事件を解決するというのが本作のストーリーであるが、少女のボケに対して暦がツッコミを入れる夫婦漫才のようなギャグが続く会話シーンが多く、怪異の謎解き以上にページが割かれている。これには数々のパロディや文章ならではのメタフィクショナルな表現も多く、原作者の西尾は「メディアミックス不可能な小説」というコンセプトで書いたと語っている。メディアミックス作品の発表以降はそれらをネタにした描写も多い。更にはラブコメ要素やアクション要素も含まれており、西尾は書きたいことを書き連ね、楽しんで書いた作品であると語り、自ら「自信作」と評している。(ウィキペディアより)

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 というように原作者が「アニメ化不能」といった作品。確かに20世紀なら無理だったろう。読むことができないスピードで次々出される文字表示、それも心境・状況と色を変えて、おまけに耳から入る言語放送と逆の意味の場合もあれば、言語に文字がツッコミを入れたり、たまに昔風状況説明だったりと、録画したものを1コマ1コマゆっくり見ることができる機能を備えたデバイスで楽しむことを前提に作られたような作品。

 

 絵 そのものの動きは少ないことが多く(たまによく動く)、歌舞伎のマやミエのような技法を入れて、電子紙芝居と揶揄気味に評されることもある。いろんな意味で実験作かもしれない。似たような実験は、エヴァ、ウテナ、まどマギでも試されたが、質・量ともにそれらを上まわる。 

 

 後発のアニメでパロられることが多いのが、ひたぎのツンデレ、真宵のロリツン、忍の影属性、翼の口癖と猫属性、駿河スパッツ、撫子だよ~、ファイアーシスターズ妹属性。余接はちょっと弱いか。

 

 まあ、多くの人が真宵から迷い込む。萌アニメの一面もあるので、それでいい。 しかし本作の最大の特徴は、西尾維新が言いたい放題のひとり芝居を、複数のキャラを使い、視覚聴覚の両面から、文字と音声の2方向から、展開してくることにある。その点は本シリーズに含めなかったが、同じ西尾維新の刀語も似たような味わい。

 

 できれば録画して、文字表示を全部読んだあと、標準スピードで流すと、その文字の切り替えの速さなども、見る楽しみとして加わり、何度も楽しめる作品となるだろう。 お薦め。


終物語。うむ。おもしろい。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

(第1期2011・2012年放送配信全16話)(第2期句点付き2013年放送配信全16話)

垢抜けていて勝ち気な妹が隠し続けてきた「実は隠れオタク」という秘密を知ってしまったことから、不仲だった妹に振り回されることになった兄の奮闘を描いている。(ウィキペディアより)

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 1期は12話、2期は13話までが通常放送。大詰めはネット配信と、これも20世紀では考えられなかった公開システム。

 おまけに1期はオタクもの、2期はラブコメとテーマもやや異なる。

 さらに1期の終わり方をGOOD END(テレビ12話)とTRUE ROUTE(WEB12話~16話)の二つに分けるなど、アドベンチャーゲームのようなマルチエンドをとりいれた意味でも実験作。

 おまけにキャラがたつことたつこと、下手すると 桐乃負けるぞ、アッキハッバラ~!


本作の女性キャラ陣も、後発アニメでかなりパロられている。あるいはパクられている。立ちまくりのキャラなので、一度覚えると、どうしても他の作品が2番煎じに見えてしまう。魅力的すぎるが、これを薦めずして何を薦める?お薦め。

 

けいおん!!

(第1期けいおん!2009年放送全14話)(第2期けいおん!!2010年放送全27話)(続きとして映画けいおん2011年公開)

 部員0で廃部寸前の私立桜が丘女子高等学校(桜が丘高校)軽音部。唯、律、澪、紬の4人の生徒がバンドを組み、ゼロから部活動を行っていく。途中新入生の梓が加わり、5人となる。軽音部の結成から卒業までの3年間を描く。

 

 登場人物名義で発売された主題歌や劇中歌などの『けいおん!』関連の多くの関連楽曲CDがオリコンチャートの上位にランクインし、主題および挿入歌CDは全てのタイトルで、キャラクターCDも1タイトルを除いた全てで、オリコンの週間チャートでトップ10入りしている。(ウィキペディアより)

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 ハルヒ以後、特に多く作られはじめた部活ものの初期の名作。萌えと音楽の融合。


ふわふわたいむ、ご飯はおかず、私の恋はホッチキス、天使に会えたよ、Cagayake girls!、ふでペンボールペン、Don't say "lazy"、桜が丘女子高校歌 いい曲目白押し!学園生活気分に浸れるよ。とにかく、お薦め。

げんしけん

(第1期2004年放送全12話)(OVA2006・7年発表全3話)(第2期げんしけん2、2007年放送全12話)(第3期げんしけん二代目2013年放送全13話)


「げんしけん」とは、オタク文化の一環である漫画・アニメ・ゲームを総合して発足した大学サークル「現代視覚文化研究会」の略称「現視研」の事である。これまで漫画、アニメ、イラスト、ライトノベル、コンピュータゲームの他、二次創作物である同人誌、フィギュア、カプセルトイ、トレーディングカード、コスプレ、プラモデル、インテリア等のサブカルチャーが取り上げられ、その対象も一般、男性、女性向けと多岐に渡り描かれている。物語がサークル中心に展開する為、サークル外の人間関係や講義風景といった描写が少ない。連載当初はオタク学生の活動を通じ、オタクの文化及び観念をコメディータッチで描いていたが、後にコミカル路線を踏襲しつつ、恋愛や心理描写を中心とした青春模様を描く方向へとシフトした。(ウィキペディアより)

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 「俺妹」と並ぶヲタク系の双璧。追随する「NHKにようこそ」「らき☆すた」などをまったく寄せ付けないほど、ヲタク文化の旗手として圧倒的トップを7年間守ったが、「俺妹」には追いつかれて以後、だいぶ色あせた。

 しかし、アニメをサブカルとして大きく育てる一翼を担ったことは事実であるし、やはりお薦めである。

 ウィキの説明を読むと、専門的かなと思われそうだが、大学のサークル活動のアニメであるから、その意味では高校部活ものと大差ない一般向けアニメである。

横山光輝 三国志

(1991・92年放送全47回)

「原作漫画 三国志(横山光輝)」

横山光輝の代表作の一つ。吉川英治の小説『三国志』(以下、吉川三国志)を基調に独自の解釈等を織り交ぜて描かれた作品。「吉川三国志」が諸葛亮の死で終わっているのに対し、本作は蜀が滅亡する全60話を描いている。

三国志を描いた漫画の先駆にして、黄巾の乱に始まり蜀の滅亡までを描ききった長大な作品である。この作品によって横山光輝は1991年、第20回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した。

(ウィキペディアより)

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 せっかくの大作である原作漫画に比べ、アニメは原作26話の赤壁の戦いまでで終わっている。2年間かけて最後までやって欲しかった。全100回ならおさまったと思う。

 三国志、史実も好きだし、小説や歴史読本などの特集も好きだった。小説でお薦めは、柴田錬三郎「柴錬三国志 英雄ここにあり」全三巻と、陳舜臣「秘本三国志」。前者は癖の少ない入門書として、後者は張魯の母、少容という主人公として選ばれることが、この小説以外にはないであろう者を主人公にした、ちょっと変わった切り口の三国志として一読を乞う。

 陳舜臣の小説十八史略の三巻あたりも、三国志の話、こちらは癖が少ない。

 横光三国志、陳舜臣、柴連三国志、蒼天航路などは、原書、三国志演義の妖術にまつわる部分は迷信または科学的に説明のつくものとして扱っており、その点で感情移入しやすい。

 

 柴連三国志と同じく、癖の少ない三国志入門として、このアニメできれば原作漫画は、お薦めである。三国志登場人物のうち百人から二百人くらいの人物相関図がかけると、関係書籍を読む楽しみが増える。アニメジャンルにわざわざ三国志のジャンルを設けたほど、三国志関連のものは多い。